次男の散髪を、なんとなく私がやるようになった。
きっかけは段々になる髪型
もともとは妻がやっていた。
バリカンを使って、夜の入浴のついでに済ませる。特に問題はない。ただ翌朝、次男の頭を見ると気になる。
段々になっている。
なぜ段々になるのかはわからないが、明らかに段々だ。次男は気にしていない。妻も気にしていない。気にしているのは私だけだ。(自分でも面倒な性格だとは思っている)
妻に指摘はする。揉めるわけでもない。ただ気になるので、翌日の入浴時に私が微修正をする。それが何度か続いた。次の散髪のとき、「俺がやろうか」と自分から言った。それ以降、なんとなく私がやっている。
じっとしない次男との15分
椅子に座らせてバリカンを当てる。アタッチメントは9mm。横と後ろを刈り上げる。最初の5分はおとなしい。6分目くらいからそわそわし始める。体が少しずつ動く。頭が逃げる。「動かないで」と言うと一瞬止まるが、すぐまた動く。10分を過ぎると「はやく」と言い始める。
(わかる。でも待ってくれ)
途中で「もう終わり?」と聞いてくる。終わってない。まだ片側だけだ。「まだ」と答えると「もぉー」と地団太を踏み出す。(こっちの気持ちも考えてくれ)
腕前については、自分ではうまくできていると思っている。ただ正直に言うと、あまり短くできていない。短くしようとするほど失敗が怖い。ガタガタになった次男の頭を想像すると手が止まる。結果、毎回ほんの少しだけ切って終わる。「切ったかどうかわからない仕上がり」になることもある。
(気づかれなくてもおかしくない長さではある)
散髪が終わったら、そのまま頭と体を洗う。
妻には「良い感じ」と言ってもらった。この一言が全てだ。お世辞かもしれないとは思っているが、言われると素直にうれしい。
保育士に聞いてみた
散髪の翌日のお迎えで、次男に聞いてみた。
「誰かに髪切ったって言われた?」
「言われてない」
ということは、次男の担任も友達も気づかなかったということなのだろう。
三男の担任の先生にも聞いてみた。(ちなみにこの先生は、以前、次男の担任をしていた)
「次男、何か変わったことに気づきますか?」
先生は次男をじっと見た。首を傾けた。「うーん…わからないです」と言った。
(そうか・・・)
気づいてほしかったような、気づかれなくてよかったような、微妙な気持ちがあった。「散髪したのに気づかれない」はある意味で失敗とも言えるが、「気づかれないくらい自然に仕上がった」という見方もできる。「うますぎて気づかれない」ということだ。きっとそうだ。
横で次男はその会話を聞いていたが、特に何も言わなかった。たぶん夕食のことを考えていた。散髪の話に最初から興味がない。
ネタバラシ
「髪、ちょっと切ったんですよ」と言った。
先生は少し気まずそうに「あー、自然すぎてわからなかったなー」と言ってくれた。フォローしてくれているのだ。
(ありがとうございます)
その横で次男はもう帰る気まんまんで、ドアの方に歩き始めていた。先生のフォローにも、自分の散髪の話にも、1ミリも関心がない。早く帰って飯を食いたいだけだ。
先生と私がなんとなく気まずい中、当の本人だけがマイペースに先を歩いている。
切られた本人が一番どうでもよさそうにしている。散髪した側と気づかなかった側が気まずさを共有して、当の本人だけが先を歩く。
家に帰って妻に「友達にも先生にも気づかれてなかったよ」と報告したら、笑っていた。誰にも気づかれなかった次男がちょっとかわいそう、という笑い方だった。
当の次男は全く気にしてなさそうだったが。

