長男と次男がマイクラでヘロブライン召喚に挑んでいた話
長男と次男は、マイクラのYouTubeをよく見ている。
自分でプレイするより動画を見ている時間のほうが長いくらいだ。プレイ動画や攻略系など色々あるが、最近は「都市伝説」系のコンテンツにはまっている。
マイクラにまつわる怖い話や謎を扱った動画だ。「この条件を満たすと何かが起きる」「特定の場所に行くと特定のキャラクターが現れる」といった内容のものが多い。
都市伝説コンテンツはYouTubeでかなりの数があるようで、次から次へと見ている。いつ飽きるのかと思っていたのだが、飽きる気配がない。
都市伝説の動画を繰り返し見ているのが聞こえていたので、ヘロブラインというキャラクターの名前は私も何となく記憶していた。
ヘロブラインとは
ヘロブラインは、マインクラフトの都市伝説として2010年頃から広まったキャラクターだ。
白目をしたスティーブのような見た目で、誰もいないはずのシングルプレイのワールドに突然現れるとされている。砂漠に現れる砂のピラミッド、葉がすべて刈られた木、規則的に掘られたトンネルなど、奇妙な痕跡を残すのも特徴だ。
発端は4chanへの匿名投稿で、その後ストリーマーが画像を加工してライブ配信でドッキリを演出したことで一気に話題になった。
特定の手順(儀式)を踏むと召喚できるという噂も生まれており、「金ブロックが必要」「この素材を揃える」といった条件があるとされている。多くのプレイヤーが実際に試みてきた。
マインクラフトの開発者Notchは公式に否定しており、ゲームのパッチノートに「Removed Herobrine(ヘロブラインを削除しました)」というジョークをたびたび入れるようになった。実在しないキャラクターを「削除した」と言い続けるのは、このキャラクターがゲーム文化の一部になっているからだ。
2021年には、都市伝説のきっかけになったとされる画像が生成されたシード値を、マイクラ研究コミュニティが特定したことが話題になった。シード値は「478868574082066804」、バージョンはJava Alpha 1.0.16_02だ。
ヘロブライン本人がそのワールドにいるわけではないが、都市伝説のルーツが実際のゲームデータから特定されたということで注目された。
知識がないと疑いようがないので、子供が信じるのは無理のないことだと思う。長男と次男には、そのまま本物として伝わっているようだ。
2人でヘロブライン召喚を試みていた
動画を何度も見ていた後、しばらく時間が空いた。
ある日、近くで別の作業をしていると、2人のひそひそ話が聞こえてきた。
「ヘロブライン…召喚するには…」
その単語が耳に入った瞬間、召喚しようとしているのか、と思った。
長男と次男の2人でマイクラをやりながら、一生懸命何かを相談している。
「ヘロブラインを召喚するにはこれが必要なんだよ」
「ここには金ブロックが必要」
ゲームの中で何かを置いたり、特定の場所に移動したりしている。本当に手順を踏んで召喚しようとしているようだった。
「何してるの?」と聞くと、長男が振り返って答えた。
「ヘロブライン召喚しようとしてるんだよ」
自信満々で、召喚できると本気で思っているようだった。
次男も隣で同じ顔をして頷いている。長男が言うのだから間違いない、という雰囲気だった。
私は「お、おぅ、頑張れよ」と言った。
MODを使った動画だと思うよ、と言えたのだが、あの真剣な顔を見ていると言い出せない。信じ込んでいる人間に言っても意味がないとも思った。
本物だと信じて儀式を実行している。そもそも疑うという発想がない。
それが面白くて、口を挟む気になれなかった。
当然だが、召喚はできなかった。YouTuberがMODやアドオンを自作して撮影していると思われるので、同じ手順を踏んでも何も起きない。
2人はしばらく黙ってゲームを続けていた。がっかりしたのか、それとも条件が足りなかったと思ったのかはわからない。
それでも2人は諦めたわけではなく、最近はジャイアントアレックスという別の都市伝説キャラクターにも興味が出てきたようだ。特定のシード値のワールドを生成すると出現するという話らしい。
どうやって情報を仕入れてくるのかはわからないが、次の都市伝説へと進んでいる。
またひそひそ話が始まる日が来るのだと思う。

