三男が突然「おっぱいが怖い」と言い出した。
パパとは入らない期
三男がお風呂で私と入ることを拒否するようになった時期があった。
いつからかはっきり覚えていないが、気づいたら「パパとは入らない」スタンスが確立されていた。妻となら全然問題なし。私が「一緒に入ろうか」と声をかけると「パパやだ!」と言われる。
愛情の一方通行。なんで。何もしていないのに。
気にしても仕方がないと思いつつ、なんとなく傷ついてもいた。
三男は気が向いたら誰にでも突然懐いたり、昨日まで好きだったものを突然嫌いになったりする子なので、まあそういうこともあるかと思うようにした。ただ困るのは、お風呂の分担に影響が出ることだ。
地味に困るお風呂問題
うちは3兄弟なので、毎日のお風呂をどう回すかが結構大事だ。
長男・次男はある程度自分で洗えるし、ふたり一緒に入れても揉めなければ問題ない。問題は三男で、幼いぶん手がかかるし、一人にできないし、嫌がっている状態で無理やり入れようとするとそれだけで一仕事になる。
結果、三男は妻担当、長男・次男は私担当という分担になった。
ただ面白いことに、妻がいない日の三男は従順だ。選択肢がなければ普通に入る。「パパとは入らない」は、妻という逃げ場があるときだけ発動していたわけだ。
子供のちゃっかり具合というか。
選択肢がなければ問題なく入れるわけで、じゃあ問題は何だったのかという話にもなるが、そこは深く考えないことにした。妻という選択肢がある限り、三男はそちらを選ぶ。ただそれだけのことだった。
突然の告白
ある日、いつものように妻が三男をお風呂に入れているときに、扉の向こうから三男が騒いでいる声が聞こえてきた。聞き耳を立てると…
「おっぱい怖い」
…え?
最初は聞き間違いかと思った。三男はまだ言葉が不明瞭なこともあるので、「あ、なんか別の言葉かな」と思ったんだが、何度聞いてもはっきり「おっぱいが怖い」と言っている。
「散々飲んでたやん!」と思わず口に出ていた。
「なんで怖いの?」
お風呂から上がってきてから三男に聞いてみた。「なんで怖いの?」と。
すると、あっけらかんに「おかしいからー!」
妻が笑いながら言った。「むかつく」。
そりゃそうだよな。散々飲んでいたのにね。
三男はそんな反応を気にする様子もなく、さっさとリビングへ戻っていった。
消去法で解決した
「おっぱいが怖い」発言から少しして、三男が私とのお風呂を嫌がらなくなった。
理由は単純で、「おっぱいが怖いお風呂」より「パパとのお風呂」の方がマシという判断になったようだ。歓迎ではなく、消去法で選ばれた形になる。こちらとしてはなんとも複雑だが、入れるようになったので結果オーライにしている。
今は三男がほぼ私と入るようになった。長男・次男も一緒なので3人まとめて担当することが増えている。主担当が逆転した形で、妻の負担も減った。
一番腑に落ちないのは妻だと思う。自分のせいではないのに「おっぱいが怖い」と言われ、そのせいでお風呂担当を外れることになった。得をしているのか損をしているのかよくわからない立場だが、笑いながら「むかつく」と言っていたのはなかなか正当な怒りだったと思う。
三男に時々「なんでおっぱい怖いの?」と聞いている。毎回「おかしいからー!」と元気よく答える。長男と次男がそのやりとりを聞いて笑っている。妻だけ苦笑いだ。
三男だけは、今日も何も気にしていない。

